自己破産とは
債務者が支払不能の状態にある場合に、債務者の高価な財産を換価して全債権者に対して平等に分配する代わりに、借金を免責する制度です。
自己破産の要件
債務者が「支払不能の状態にあること」です。
この「支払不能」の要件は債務者の財産、信用、労力、技能、年齢、性別、職業、給料などを総合的に判断し、裁判所が個別具体的に認定します。
自己破産のメリット
借金を基本的にゼロにできるため、債務者にとって、経済的にみて最も有利な債務整理の手段であるといえます。
自己破産のデメリット
1.信用情報機関の事故情報(いわゆるブラックリスト)に載るため、5~7年は銀行やサラ金から融資を受けられなくなったり、クレジットカードを作ることができなくなります。
2.高価な財産(時価20万円以上の財産)は手放さなければなりません。
ですから、住宅や自動車が時価20万円以上の場合は処分されることになります。
ただし、一般的な家財道具等の日常生活に必要な財産を失うことはありません。
また、99万円以内の現金の保持は認められています。
3.自己破産を申立てて免責許可決定を受けると、以後7年間は、原則として、再び自己破産による免責許可が受けられなくなります。
4.破産者は、弁護士、税理士等の士業、証券会社外務員、生命保険募集員、建設業者、警備員といった一定の職種に就くことが制限されるという資格制限があります。
もっとも、免責許可決定が確定すれば、資格制限はなくなるので、再び上記の職種に就くことができるようになります。
5.官報に名前が載ります。もっとも、一般人が官報を見ることは、ほとんどありませんので、破産の事実を他人に知られるおそれは、非常に少ないです。
6.管財事件になった場合、一定期間、破産者宛の郵便物が管財人に転送されます。
同時廃止事件と管財事件
債務者に不動産等の高価な財産がある場合には、それを換価して債権者に平等に分けるという手続が必要となります。この場合、破産手続開始決定と同時に破産管財人が選任され、この破産管財人が、債務者の財産の処分・債権者への配当といった手続を進めることとなります(管財事件、こちらが原則です)。
しかし、債務者にめぼしい財産がない場合には、上記の手続を進める意味がないので、破産手続開始決定と同時に破産手続廃止決定をして手続を終結させます(同時廃止事件)。個人の自己破産事件の90%以上が同時廃止事件となっています。
なお、破産管財手続中に、配当に回せる財産が殆どないと判明したときは、破産管財人の申立て、又は裁判所の職権で破産手続廃止決定がなされ、破産手続を中止します(異時廃止)。